9月15日、DTP Booster 006を受講するため、御茶ノ水のデジタルハリウッド本校に行ってきた。
今回のテーマはPhotoshop。私が使っているバージョンは未だに5.5だが、仕事では圧倒的にモノクロが多いため、これで用は足りている。そのため、今回は壁紙クイズのために行ってきたようなものだが、結果は大正解。普段壁紙を作るため使用している機能はほとんど決まっており、しかも全体を対象にした操作が多かったのだが、たとえば肌を輝かせるとか、そういう補正の際の対象範囲の切り出し方や、色についての知識等、とっても勉強になった。
今回の講師は2名。最初の講義はまめこさんによる「現場でスグに使える人物合成」。東京ナイロンガールズというサイトで書かれている「まめこマンのメタモル補正#02 わたし、MEGになりたいの!」という記事で行われた補正を実演された。
いやー、面白かった。普通の女の子をモデルのように補正するということで、ゆがみツールを使って腕を細くしたり、胸を大きくしたり。自分の写真でこういうことをやっているとシュールな気持ちになってくるけど、人のなら楽しいとおっしゃる通り、これは楽しい作業だ。お肌をきれいにする作業は頻繁に起こりうるし、髪の毛の切り抜きは、髪の毛のブラシを使って合成してしまうというのにも、なるほどねぇと思った。
次の講義は藤本 圭さんによる「ソフトフォーカスのシミュレーションとランダムなブラシによるオブジェクトの配置」。これは壁紙作成作業に必要な作業がたくさん含まれているということで、興味津々で聴講した。
この方は、Photoshop 10年使える逆引き手帖やPhotoshopデザインラボ -プロに学ぶ、一生枯れない永久不滅テクニック等の著書をお持ちということで、写真についての深い知識を駆使した加工テクニックはとても勉強になった。色についてはいろいろな公式があるようで、これはぜひ本を買って勉強しなくては。
これまでは、全体を対象にした補正をすることが多かったのだが、こまかな部品を切り出して重ねていくという立体な考え方は、とても勉強になった。
なお、その422で告知させていただいたHTML差込ツール EXCEL2HTML Proのキャンペーンは、30日まで延長させていただいております。ご興味のある方はぜひ、ご確認いただけたらと思います。
2008年は、胃の痛みとの戦いの一年だった。2006年頃から、油物を食べた後、しばらくすると胃が痛くなるという症状があったのだが、昨年はそれがピークに達したのだ。
2007年末から猛烈な胃痛に苦しみ、正月早々お医者に行き、胆石と共に胃炎の診断が下り、胃炎の薬が出た。
薬を飲んでいる限りは、痛みもなく、2~3ヵ月ですっかり快調になったが、しばらくするとまた痛みが復活した。
その後も、少し脂っぽいものを食べたり、生活のリズムが狂ったりするたびに、脂汗をかいたり、夜中にゲーゲーしたりしていた。
こんなんではいけないなぁと思いつつ日々過ごしていたが、今年に入って急激に体重が増加した。これまでも相当に太っていたわけだが、それに輪をかけた状態だ。そこで、ダイエットをと思ったのだが、これまで私がダイエットに成功したときには、漢方薬も使っていたということを思い出した。
まず最初のダイエットは20代の時だった。この時は、単純な便秘ということで大黄甘草湯とテニススクールの併用で、3ヵ月で10kg減らした。
30代の時は、生理痛が激しかったため桃核承気湯とスポーツクラブでの運動を併用して、これまた3ヵ月くらいで10kgほど減らした。
40代では、お医者に処方された防風通聖散とEPA製剤、それからお医者の施設で運動したが、7kgくらいかな、減ったのは。最初は結構勢い良く減ったんだけどね。
減り方が鈍いので、入院しろと言われたが、それはちょっとということでそのままになってしまった。私はこれまでも防風通聖散は飲んだことがあったのだが、あまり効いた試しがない。
EPA製剤は、効いていたようだった。これを飲むと、上がり気味だった血圧が落ち着いた。たぶん動脈硬化の始まりだったのだと思う。
ただ、これを飲むとどうしても胃がムカムカするという難点があった。その241の時だが、そういえば、左の掌の痺れの原因を調べるために身体の横からレントゲンを撮った時、初めて胆石の可能性を指摘されたんだった。ちょうど胆嚢のあたりに、白い輪っかが映っていたのだ。今思うと、そのムカムカは胆石の症状だったのかもしれない。
そこで、今回はどの漢方薬にしようかと考えたとき、瘀血であることは間違いないから、また桃核承気湯にするか、それとも他にもっと今の自分に合うのがあるのか調べてみたところ、大柴胡湯が目に入った。これは胆石にも効くらしいということで、薬局に探しに行ったところ、ちょうど小林製薬からビスラットゴールドが出たということで、これを試してみることにした。
効果は、目を見張るほどだった。まず、上腹部がすっきりしてきて、あれほど苦しんだ胃痛に見舞われることもほとんどなくなった。肥満に伴うその他の症状も随分軽快した。
最初に小さい瓶、次に大きい瓶を2瓶、その後小さい瓶を1瓶飲んだが、その頃になると、体調も落ち着き、飲んでいてもあまり変化を感じなくなってきたのでひとまず休んでいるが、今のところ、胃痛は来ていない。
ただし、体重はまったくと言っていいほど減っていない。ただ、急激に大きくなっていったアンダーバストが縮んできたことは確認できているので、この調子でなるべく胆汁を貯めないように、食事間隔や脂質のバランスに気をつけて、ゆっくりダイエットしていこうと思っている。
とはいえ、今第一にやるべきことは、検査よね。昨年あれほど悪かった各種の数値がどれくらい変化しているか、まずはこれを調べないことにはこれからの方針が立てられない。
本当は、もう少し前にお医者さんに検診に行こうと思っていたのだが、特定健康診査の封筒をどこにしまったのか忘れてしまい、今まで延びてしまった。
だってねぇ、腹囲なんて、測らなくたって、見ただけでわかるでしょってーのよ。だから、この封筒を見たときに、無意識に目に入らないようにしてしまったのかも(^^;
ようやく見つかったので、近いうちに行かなくちゃだわ。
漢方関係の情報は、最近はクラシエの漢方のページをよく見ている。暮らしへ、クラシエのサイトは、漢方以外にもいろいろな商品情報がまとめられていて、こういうブランディングサイトによるファンづくりというのも有効なんだなと、マーケティングの眼で見てみたりしてね。医療従事者向けのページも、素人にもわかりやすく書かれているので、そういうページなどにも入っていったりして、日々情報を集めているわ(^^)
それから、アンダーバストの急激な拡大は要注意よ。脂肪肝と胆石のセットが潜んでいる可能性大だわ。<経験者は語る
鳥居みゆき著『夜にはずっと深い夜を』を読んだ。
色々な人の話がつながって最後に輪になるという話の流れは、奥田英朗の『ララピポ』によく似ているが、そこに展開されるお話は、鳥居みゆきのネタの世界そのものだった。
ふと持ったある感情を、突き詰めて行ったらどうなるか。そういう話が、あの大きな目でじっと見つめているのが目に浮かぶような、深い観察眼をもって書き連ねられている。
表紙もすごい。ちょっと見た目には、黒くてカッコイイデザインという感じなのだが、夜、ふと見ると、非常に怖い(^^; 夜にはぜったい表紙を凝視しないことをおすすめする。
お話の合間合間には、それぞれの主人公の妄想日記が挟まれていたり、なんだか絵の上に雨だれのような連綿体の文字がびっしりと敷き詰められた、中扉のようなものが挟まっていたりする。これ、鳥居みゆきの字なのかなぁ。
最後の連綿体の背景には鮎原こずえがいて、その傍らには“女はど根性”という、これまた連綿体の文字があったのには思わず顔がほころんだが、他の文字がなかなか読めない。じっくり解読すればまた何か深い世界が見えてくると思うのだが、これがなかなか大変だ。一通りお話を読んだ後は、この連綿体の解読でも楽しめるわね。
お話の最後の一行では、「あぁ、そうだったのか」とハッピーエンドのすがすがしさを感じたが、そのすぐ後、「ん?」とまた怖くなってくる、実に深くて味わいのある本だった。
8月27日(木)、DTP Boosterというセミナーがあり、水道橋の大塚商会に行ってきた。
今回のテーマはInDesign。Design × Lifehack × CrossOver Labというブログを公開されている杏珠さんの「InDesign上で作れるグラフィカルなページの制作方法と、ユーティリティを使っての作業効率化の方法 ~ゲーム雑誌・スキー雑誌の現場から~」から始まった。
杏珠さんのセッションでは、InDesign上で作り、修正の可能なグラフィカルな文字の作り方および便利なユーティリティーの紹介があった。
グラフィカルな文字ももちろんだが、紹介されたユーティリティーには感動した。たとえばShow Time +oneというサイトを運営されている市川せうぞーさんが開発された「snap_caption」は、画像に対してキャプションを任意のアキでスナップさせてくれるし、Nakatojiさんの「仕上げ屋」は、InDesignに配置された画像が「出力解像度で100%」「フレームの大きさにトリミング」「回転無し」になるように、一気にリサイズ調整してくれる。いずれも画像の多い本を組むときにはぜひ欲しいツールだ。
なんでやねんDTPというブログを公開されている大石 十三夫さんによる「あえてInDesignの常識に軽~くツッコミを入れる」では、さまざまな設定によるツメの変化、それから禁則調整方式について、「調整量を優先」という設定について説明された。
ツメの設定についての説明に多くの時間を割かれ、大変興味深かったが、禁則調整方式の「調整量を優先」という設定の利点と不満点を具体例と共に説明されれていたのには特に興味を持った。
最後は先ほども出てきた市川せうぞーさんと、InDesignの勉強部屋を運営されている森 裕司さんによる「InDesignの10問20答 ~2009夏の陣~」では、たとえば頻繁に行う作業を素早くやる方法とか、複数の段落スタイルを一括で適用する方法、行末の全角スペースを自動で吸収する方法等を、森さん流では、せうぞーさん流ではというように次々に紹介された。
特に行末の全角スペースを自動で吸収するという、電算写植では当たり前のことをInDesignで実現するにはどうしたら良いかとか、CS4に搭載されている正規表現スタイルのデモにはとても興味を持った。
うちはまだCS2を入れてそれほど経っていないので、CS4にアップグレードするのはまだ先だと思っていたが、XML組版をする上で、スタイルにこのようなプログラム的要素を盛り込めるということは大変重要なので、正規表現スタイルが使えるCS4が早く欲しいと思った。
セミナー終了後は懇親会。久しぶりに会った人や初めて会う人たちと、実りある時間を過ごさせていただいた。
このところ、DTP関係の各サイトを回る頻度もなぜか少なくなっていたが、今回のセミナーはとっても刺激になったので、これがまたどんどんいろいろなサイトを回って、知識とノウハウの吸収に努めたいと思っている。
私のWebサイトでも、文章物のXML組版のサンプルをアップしようと思いつつなかなか進んでいないが、できるだけ早くアップしようと思っている。このラブレターズに書いた素材を使って(^^)。
それに際しては、当初は谷崎でと思っていたのだが、これはあまりにもマニアック過ぎてサンプルには不向きなので(^^;、源氏あたりをピックアップしよう思っている。
なお、私の仕事のWebサイトであるメディア木龍ホームページでは、9月1日から8日まで、HTML差込ツール EXCEL2HTML Proのキャンペーンを実施します(反応が良ければ延長もあり)。
これまで迷っていた方も、この機会にぜひお求めいただければと思います。
この作品は、『愛すればこそ』の翌年、大正12年1月号の『改造』で発表された。この作品の中には既に佐藤春夫はいない(読者は佐藤春夫を頭に浮かべていただろうが)。登場するモデルは、谷崎、千代夫人、せい子さん、それから女性にモテるけど生活力がないらしい男性である。
ちなみに谷崎一家と和田青年が初めて出会うのは、この年の8月なので、この作品の執筆時点ではまだ和田青年とは出会っていないことになる。
物語は、主人公である梅沢要次郎が、情婦と結婚するため、友人の小倉と自分の財産を報酬にして次のような契約を結ぶところから始まる。
先ず第一に、お杉を説きつけて、僕と離縁することを承諾させる。
第二に君は日頃の色魔たる手腕を以って、お杉を誘惑し、彼女と肉体的関係を結ぶことに成功すること。
第三に、その結果として少なくとも当分の間、君は彼女と正式に結婚すること。そうして世間には、君が僕の妻を誘惑して横取りした、という印象を与えるようにすること。
ちなみに、第三には、「ここが一番重要なんだよ。」というセリフも入る。
どうだろう。これまでラブレターズを読んでこられた方や小田原事件から細君譲渡事件について興味のある方ならムムッ? と思うのではないだろうか。
和田青年と千代夫人との恋愛については、谷崎がそのように仕向けたという説がある。実際、初めて出会った後の和田青年の現れ方は不自然といえばいえる。例の負い目があるので、そんな画策もありえないことではない。
なぜそれほど谷崎が負い目に感じるか。
そこには父への複雑な感情が横たわっているのではないかと私は思っている。
谷崎の父は商売が下手で、母の父、つまり谷崎の祖父から任された商売をことごとくつぶしてしまった。そのため、谷崎家は大変な窮乏を強いられたからだ。
その表れの1つが、同じように家業をつぶした松子夫人の前夫から、松子夫人とその姉妹を結果的に奪い、なおかつ彼を非常に憎んでいたことである。このような松子夫人の前夫に対する感情については晩年に自らのエッセイで書いており、しかも、その中には、その贅沢な姉妹を引き取ると大変なことになると人から忠告されたにも拘らず、それを強行したことも書かれている。つまり、贅沢に育った母を苦労させた父への対抗心もあって、あえて苦難の道を選んだのではないかと思うのだ。
そんな父なのに、末、終平という子供が生まれるくらい、夫婦の関係はうまく行っていたため、その点で妻に不満を言われるというのは、谷崎としてはかなりつらいことだったのではないかと思うのだ。
しかしその一方、千代夫人がそう簡単に谷崎を裏切るとは思っていなかったことも確かだろう。千代夫人の裏切りに衝撃を受けたことを示しているのが、その403でも触れた『白日夢』である。
現実には和田青年の情熱は高まり、結婚の話も進んだ。しかし、この結婚話は不可解な形で壊れた。そのあたりの疑問についてはこれまでもラブレターズで書いているが、今回この作品を読んで、それが確信に変わった。
つまり、和田青年と千代夫人との結婚が決まったと佐藤春夫に手紙を出した時には、明らかに佐藤春夫が壊してくれることを確信していたということである。
なぜかといえば、この作品は、小田原事件のことを題材にして谷崎と佐藤春夫が作品の発表合戦をしている真っ只中のものであり、佐藤春夫がこの作品を読んでいないわけがないからである。
その399に引用している通り、この手紙で谷崎は佐藤春夫を家に呼んでいる。当然千代夫人は佐藤春夫に相談するし、佐藤春夫もどういうことかと問い詰める。すかさずそれを終平さんが東京にいる和田青年にご注進。和田青年が怒り、話はオジャンという結果になった。つまり、利害の一致している谷崎と終平さんの連携プレーなのだ。
終平さんがその後もどこまでも千代夫人を追いかけて、時には千代夫人に迷惑がられながらも谷崎への要望の取次ぎをお願いしていたということは前にも書いたが、終平さんは和田青年(後の大坪砂男)のところにも、彼が亡くなるまで定期的に現れていることが瀬戸内寂聴著『つれなかりせばなかなかに―文豪谷崎の「妻譲渡事件」の真相』に書かれている。しかもこれまた多少迷惑がられながらだ。これはいったい何を意味するのだろう。そして千代夫人の死後、終平さんによってこの恋愛事件が世の中に発表されたのだ。
物語に戻るが、その後計画はうまく行き、主人公も情婦と結婚する。しかしその後元妻の危機を知った主人公が取った行動は……。
この結末には、谷崎の中でのせい子さんの位置がにじみ出ている。それに対して、千代夫人を危機から救うためなら自分の命さえ投げ出せるということが、この時点でのシミュレーションの結果だった。