ラブレターズ

その305(2006.06.12)『町長選挙』

奥田英朗著『町長選挙』を読んだ。久しぶりの伊良部物ということで、わくわくしながら読み始めた。

この本は、『オーナー』『アンポンマン』『カリスマ稼業』『町長選挙』の4作品が収録されている。いずれもモデルが非常にはっきりしている、いわば時事コメディともいうべき作品だ。この中で、表題作も面白かったのだが、私としては『カリスマ稼業』に特に思い入れがある。
この作品は、十代の子からもかわいいといわれるくらい若くみえ、しかもそれが自然体だという44歳の女優が、太ってはいけないという強迫観念にとらわれて眠れなくなったり、とらわれはじめると所かまわず運動しだすというお話だ。
44歳というと、今の私と同じ年齢だ。モデルと思われる女優さんは私と学年違いだろう。ライバルの女優はモデルの女優と同学年だと思う。なので、常に若くありたいという気持ちはよくわかるし、ましてこの人は女優。しかも自然に若いというカリスマ的な看板ができてしまっているわけだから、その重圧は、私のように毎日「少しは痩せたら」と言われる能天気な人間とは違うのだろう。
さらに悪い(というか何と言うか)ことに、この人は一度も太ったことがないといううらやましい人だ。だから、伊良部医師のアドバイスも実に簡単だ。

最後にマユミちゃんが曲を作って歌うのだが、これが実に辛らつだ。このキャラクターは、とっても好きなのだが、今回は作者の強い気持ちが働いているのか、本当に情け容赦ない。作者がこの女優に抱いた感想については、こちらを見ていただくとわかると思うが、ラブレターズその275でどの作品だろうと思ったのは、この作品のことだったのね。

だけどねぇ、いくら作者が年齢の割に少々ジジ臭い(うちの本当に自然体で若い夫と比べて)からって、これはちょっと辛らつすぎじゃないかなぁ


その304(2006.06.11)『容疑者Xの献身』

久しぶりに小説の話を。

随分前になるが、東野圭吾の直木賞受賞作『容疑者Xの献身』を読んだ。長いこと直木賞候補になりながら取れなかったのが、ようやく取れたという作品だ。

この作品には、『白夜行』『幻夜』に含まれる、特別な技能や才能を持った男性がその才能と一生を一人の女性のためだけに消費しようとするというテーマが含まれている。他の2作品と異なるところは、その女性をごくごく普通の人にしたところ。男性の方も、飛びぬけた頭脳は持っているが、自分の容姿に自信がないため彼女に積極的になれないという、これまた親近感の持ちやすい設定だ。

容姿に自信のない一人の男性が、好きな女性のために自分は何で役に立つことができるか、それを考えた先にこの結末があったというのがこの作品の主旨なのだろう。この恋が初恋だったということも大きなポイントなのかもしれない。

実際、男の人が自分の容姿を他人と比較して順位付けをしているらしいのを感じることがある。それが如実に現れるのが結婚式だ。自分より容姿の劣ると思っている男性の隣に綺麗な花嫁がいた場合、猛烈に嫉妬していたりする(^^; それをあからさまに明るく言う人はまだいいのかもしれない。もしかしたら秘かに嫉妬の念を燃やしている人もいるのかなぁ(^O^)

しかし、それにしても何でこの作品でという感はある。これで取れるのならなぜその前の2作のいずれかで取れなかったのか。そんなことをどうしても考えてしまう作品だ。


その303(2006.05.28)「A GiRL in SUMMER」

待望のニューアルバム、「A GiRL in SUMMER」を、23日に上野のエキナカで購入した。せっかくなんだから銀座の山野楽器に行けばよかったのだが、電車に乗ってからそれに気づいた(^^;
でも、さすがにユーミンのニューアルバム。ニューリリースのところに3列に陳列されていた。このお店でのおまけは、CDケースやポストカード・テレカ等のカード類が立てられる小物(写真)だった。CDの前にカードを挟むところがあるのだが、ここにセブンイレブン限定のミュージックカードをと思ったが、未だに入手できていないのが残念。このお店にはEYESもたくさんあり、帰りの電車の中で熟読した。

今回のアルバム、懐かしくて切なくて本当にいい。CDとしてのトータルの流れもすばらしいが、特にお気に入りの曲は、「海に来て」「哀しみのルート16」「Many is the time」だ。全体を何回かリピートした後、1曲ずつリピートして聴いている。毎日仕事をしながら目いっぱい楽しんでいる状態だ。


その302(2006.05.13)イベリコ豚

正隆さんの出ていたトリセツという番組でサン・パウというレストランの紹介をしたとき、イベリコ豚という豚の名前が出てきた。なんておいしそうな名前なのだろうと、その後ずっと頭に残っていたところに、このページに広告の出ているオーダーチーズドットコムで、イベリコ豚の生ハムの食べ比べセットが出たことがあった。
ハモン・イベリコ・ベジョータとハモン・イベリコの食べ比べセットなのだが、ベジョータの方は、口に含んだとたんドングリのかおりが強く広がり、初めて食べたときは少し驚いた。この、ドングリのかおりが強いところが最高級の最高級たるところなのだろう。一方、ベジョータでない方は、ドングリのかおりはしない。が、その分うまみがある。味の点で両方に共通しているのは、食べなれているタイプに比べて肉厚で酸味があるところだろうか。

見た目は、よく見慣れている生ハムより赤く、脂身の部分は若干透き通っている。手でさわると溶ける感じだ。

それが今度久しぶりに登場した。予約受付は15日までということなので、イベリコ豚って何? どういう味なの? と試してみたい方は、下の方にあるリンクからお早めにどうぞ(^^)
私は今度はどうしようかな。初めて食べたときはドングリのかおりの強さに驚いてしまったのだが、2度目ともなれば、もう少し違った感想が出てくるかもしれないから、また注文してみようかな。


その301(2006.05.08)代々木(ネタバレ)

代々木は初日と最終日に行ったのだが、最終日は開演時間を1時間勘違いして早く着きすぎたため、ミニデートになった。
まずは例によってラーメン。
じゃんがららーめん(2階)で、好き嫌いの多いマサノリはじゃんがら味玉角肉入り大盛。
私はじゃんがら全部入りを注文した。
その後、結構お腹がいっぱいだったのだけど、時間つぶしに歩いていたら、千疋屋の前に行列が…
マンゴーフェアだったのね。
なんだ、最初からそっちにしておけばよかったのにと思いながら、結局入り(^^; マンゴーパフェとコーヒーを注文。
あんなに大きくカットされたマンゴーを食べたのも初めてだけど、あの甘さはすごい。さすが千疋屋のフルーツと感動した。

コンサートは、初日はアリーナの後ろの方だったのと、会場の床の特性によるのか、スタッフの方々が準備のために通る足音がかなりうるさく閉口したが(スニーカーならあんな音しないよね)、ステージを右へ左へ前へ後ろへ走るユーミンの真剣な表情に、そんな不満も吹っ飛んだ。
実際、あれは集中して走らないと怪我するだろうなぁ。と思っていたら、最終日のMCで捻挫の報告が…。2日目のリハーサルが終わったときの出来事だそうで、2日目のMCでも話されたそうだが、それなのにあのハードなステージを普段通りにこなしていたユーミン。
後でファンクラブのサイトで腫れた足の写真を見て、驚いた。あの状態でステージで跳ね回ったり、客席を走ったり、灯台を駆け上がったりしていたのだ。灯台を駆け上がるのなんて、時間がピッチリ計算されていて、少しスピードが遅れれば間に合わないようにできているのに、足のことなどまったく感じさせなかった。終演後もずーっとアンコールのコールを続けていたくらい、MCでの捻挫の報告のことを忘れさせるステージだった。
と、ここで再びファンクラブのサイトに行ったら、公演後さすがに発熱したそうだ。それでも名古屋までに70%くらい回復したそうで、本当にすごい。
ツアー日誌の方でも、名古屋での様子をマネージャーのおぐまさんが報告されている。元気そうな様子が伝わってきて、本当にうれしい。

そういえば、最終日はスタッフの足音が聞こえなかった。初日より随分前の方だったし、通路から離れていたこともあると思うが、スタッフの靴も変えたのかな。