今、NHKで『夢みる葡萄』というタイトルで、林真理子の『本を読む女』を原作にしたドラマをやっている。なかなか面白い。で、その原作を買おうと本屋へ行ったところ、残念ながら見当たらず、その代わり、山梨を舞台にした2つの小説を求めてきた。そしてまず読んだのが、標題の作品だ。
この小説は、直木賞候補にもなった、作家林真理子の原点のような作品だ。
この小説の中で、等身大の、林真理子そのものの主人公の中学高校の多感な時代から、マスコミに登場しはじめた頃までの心の動きを、1人の同級生と対比させながら描いている。その書き方は、対比というよりも、気付いたらその人物の運命と自分の運命を並べていたような、一見あまり意図的とは思えない方法で書かれている。
自分の容姿に対する他人の反応に極端に敏感になっている主人公。それは友人から「自意識過剰」といわれるほどだ。そのような中、同性の友人に対する友情と憎悪が何の飾りもなく描かれていく。そして、その流れは読者の予想する方向には行かず、ただひたすら自伝を書いているように流れていき、それでも一気に読んでしまうほど引き寄せられ、結果的に随分と異色な作品に仕上がっている。
しかし、この主人公の描写はすごい。自分の容姿をその登場から最後のシーンまで実に細かく丹念に文字にして再現している。特に最後のシーンの服装やメイクは、その文字からはっきりと目に浮かび上がる。ああ、そういえば、そういうメイクをしていたなと。
生保の窓口をしていたとき、林真理子がそこで講演したことがあった。そのときは、マスコミに出るときのようなメイクではなく(ほとんど素顔に近い)、実に無造作に髪を縛り、とってもだるそうにマイクを持ってしゃべっていた。それでも、ところどころで「私は友達に、本当に性格がいいよねって言われるのよ」と繰り返しながらも、さすがにうまくまとめていた。講演中はメガネを外していたが、講演が終わるとすぐメガネをかけていた。その急いでメガネをかけるしぐさがとっても印象的だった。そして彼女が窓口の前を通ったとき、同僚がつぶやいた一言は、今も忘れない。それは、彼女が自意識過剰にならざるを得ないのがよくわかる一言だった。
吉本ばなな著『ハードボイルド/ハードラック』が、例によってベッドの脇にあった。早速読んでみると、ハードボイルドは死んだ人との交流、ハードラックは死んでいく人の周辺で起こるこれからも生きていかなくてはならない人々の交流が描かれている。
ハードボイルドの方は、少し斜に構えたしゃべり方や行動をする女性が、たまたま一緒に暮らした友人の死と向き合う話だ。最後は一歩間違えれば一生つらさを背負わなければならなかった主人公に未来がみえてくる。
ハードラックの方は、仲の良かった姉が突然病に倒れ、ゆっくりと死んでいく、その過程の苦しい思いが描かれつつ、そんな中でも生き続けなくてはならない人々に少しずつ希望の種が生まれてくる。
今はどんなにつらくとも、それが決して永遠に続くことはなく、その先に光が見えてくるものだと感じることができる小説だった。
年末に発売される予定のユーミンのセルフカバーアルバムに、『雨音はショパンの調べ』が入るようだ。この曲がはやった頃、マサノリは小林麻美のファンだと言っていた。けだるい雰囲気を醸し出して歌うその曲は、耳にとてもやさしかった。ユーミンはどういうふうに歌うのだろうか。アレンジも変わるのかな。
アルバムに入るそれぞれの曲が、再びどのように料理されて、ユーミンがどういうふうに歌うのか、それによって、同じ曲にまた新たな命が吹き込まれるのがとても楽しみだ。
ところで、マサノリの好みはその後菊池桃子に変わったが、これはドラマのせいだろう。当時付き合い始めたばかりだったが、この名前を聞いたテニスの仲間は、共通点のみつけにくい好みに、一様に釈然としない表情を浮かべていた。
日本テレビの『すいか』を、今になってまとめて見ている。レトロな雰囲気の心が温まるドラマだ。
しっかしすごいのがその俳優陣。特に女優陣がすごい。詳しくは公式サイトを見ていただくとして、それにしても普段ドラマには出ないような大物が出演しているのだ。
主役の小林聡美は、いつもはしっかり者の役が多いが、今回はだんなさん(三谷幸喜)を思い浮かべさせるようなキャラクターだ(もしかして役作りの参考にしてたりして)。その母親役が「目ぢから」の強い白石加代子。2人並ぶと、本当に親子に見える。今回はもう1人目ぢからの強い女優(片桐はいり)がいるためか、いつもに比べて目ぢからは押さえ気味だ。それにしても白石加代子がドラマに出るなんて、いったい何年ぶりだ?
主人公の友人で三億円を横領して逃亡する人の役が、小泉今日子。小林聡美と小泉今日子って、何気によく共演している。古いところで私が記憶しているのは、小林聡美がまだデビューしたばかりの頃に、ドラマで、遠藤周作の『女の一生』を、競演していた。「キクの場合」と「サチ子の場合」があるのだが、キクを小泉今日子、サチ子を小林聡美が演じていた。この頃から小林聡美のどっしりとした演技は光っていた。最近では、舞台で『おかしな2人』で共演している。いずれにしても親友の役だ。今回も、2人でなかなかいい味を醸し出している。
さらに驚くのが、浅丘ルリ子だ。この人がドラマに出るのも、随分と久しぶりのような気がする。不思議だったのは、このドラマの季節は夏で、登場人物も夏の服装をしているのに、この人だけは毎回秋か冬のような格好をしていることだ。
若手もすごい。ともさかりえと市川実日子。ともさかりえは、今度また『帰ってきたロッカーのハナコさん』をやるそうで、楽しみだ。このドラマも好きなのよ。私。市川実日子は姉の市川実和子とまた違ったキャラクターで、姉妹2人ほぼ同時に出てきて、これだけそれぞれのキャラクターがしっかりしているのもめずらしいと思う。
ゲストもすごい。毎回ビデオを見ながら「すごい!」を連発している。
バトル掲示板をご覧の方はもうお気付きと思うが、
「わたくし、結構ミーハーですの*^^*」
先日、エディカラーMLのオフ会があった。標記のタイトルの本の編集長もいらっしゃっていたのでその場で購入した。スクランブルエッグというのは、新人アイドルを発掘する紙とWebの媒体で、Webサイトの中にコラムがある。それが1年続いたら本を出そうということで、今回の出版になったようだ。Webのコラムは現在94回を数えているが、その中の一部と、書き下ろしのコラムが収録されている。新書判なので、電車の中で読むのにちょうどいい。
スクランブルエッグで取り上げられてブレイクしていったアーティストには、浜崎あゆみ、椎名林檎、後藤真希、倖田來未など、錚々たるメンバーがいる。
この本の半分以上はハロプロ関連、つまりモーニング娘。およびその周辺の話題だ。だから、この本を読むと、あのシャッフルユニットという、私にとってはとてもわかりにくい世界が、少し見えてくる。世の中には、このシャッフルユニットを年中行事として楽しんでいる人もいるようだ。モーニング娘。の勢力図を、まるでその場にいるかのように見せてくれる。また、オーディション対策用の選曲講座もある。
私は岡田編集長と面識があるので、最後の方の書き下ろしのコラムを特にじっくり読ませていただいた。Web講座の講師をされている方なので、とても勉強になる。アイドルのオフィシャルサイトを作る際の注意点なども書かれている。ファンサイトのことはとりあえず除外と書かれているが、好きなアーティストの公認サイトを作っている方には参考になるだろう。
購入方法はこちら。
岡田編集長は昨年私も書かせていただいた、『エディカラーでいこう!』の編集委員でもある。私自身はスクランブルエッグ on the Webよりも、スクランブルエッグ編集長のブログ(2007-10-05 URLとタイトルを修正)をよく見に行っている。