ラブレターズ

その120(2003.2.22)リーダーシップ

真藤恒NTT元総裁が、先月亡くなった。このニュースを聞いたとき、新卒で入った出版社でダメOLをしていたときのことを思い出した。
その出版社はNTT関係の本を主体に出している会社だった。で、私が入社してすぐにこの人が旧電電公社の総裁になり、あの巨大な組織を動かし、NTT民営化を果たしてNTT初代総裁に就任した。景気がよかったこともあるし、NTTの事業がとりわけ有望視されていたこともあるだろうが、とにかく活気があった。株式会社テレカ(現NTTテレカ)ができて、テレフォンカードの代理店がどうのこうのと言っていたっけ。岡本太郎画のテレカも記憶にある。不採算赤電話の廃止については、日本全国でいろいろなことがあったであろうことも、そういう出版社にいると見えてきた。
地域によって回線使用料が違うのを知ったのはNTTになってからだった。明細書が発行されるようになって、それを見てみると、回線使用料だとか、付加使用料だとか、訳がわからなかったっけ。各基地局の等級も、当時とはまた変わっていて、あの頃は5等級まであったけど、今は3等級までらしい。いかに変化が激しかったかがわかる。
「電電語」というのも印象的だった。1つの組織に入って仕事をしていると、そこでのローカルなやり方が万国共通の常識だと思ってしまうことがある。縦の組織の言うことは聞くが、電話局長の言うことは聞かないとか、お客様という意識がないとか、いろいろな意味がこめられていたと記憶している。
一般の会社でもそういうことはある。技術職など、ローカルルールの集まりだ。けれど、それぞれの職人は、自分が親方から教わったやり方が全てだと思っているわけで、たまに違ったやり方を持ち込まれると、そんなやり方があること自体が信じられない。例えば美容師の技術も、それぞれローカルの流儀で代々の師匠から受け継がれていると、テレビで言っていた人がいたが、そういう風に思っている美容師はどれくらいいるだろうか。
ごくごく小さな組織でも大変なことなのに、真藤元総裁がやったことがいかにすごいことだったか。

それにしてもあのダイナミックな改革の嵐。今の停滞感が支配している時代からみると、別世界のように感じる。
ただ、これだけすごいことをやってのけた人でも失敗することがある。そのために晩年はさびしいことになってしまったが、それだけに、亡くなったというニュースは特に心に残った。


その119(2003.2.15)仕事とバレンタイン 

いい仕事をするために、また、お互いにビジネスとして成り立つために、お客さんといろいろご相談させていただいたり意見を交換したりする。私のテーマは「顧客満足」だ。
目的を達するためにはどのように進行したらいいのか、何に気をつけたらいいのか。こういう話し合いをすると、直接のテーマでない面でも変化が出てくる。原稿やデータを送る前のチェックだ。当たり前のことなのだが、急いでいたりすると緩みがちなところなのだ。こうしてお互いに緊張感をもってやり取りをしていると、原稿とデータの真剣勝負!原稿やデータそのものが言葉をしゃべりだす。
でも、これって前向きなお客さんだからできること。そういうお客さんと仕事ができることをとても感謝している。
仕事はチームワーク。いつも緊張していたのでは、これもねぇ。こういうとき、行事は便利だ。13日、原稿を送るときに、皆さんで召し上がってくださいと明治チョコレートの復刻版セットも同封した。好評だったようで、ほっとした。お互いの電話の声も、元気が出てきて、本当に、いいバレンタインになったと思う。

マサノリへのチョコレートは、いつもゴディバかノイハウスなのだが、13日にマサノリがどこどこの新しいコーナーがすごい混んでいたとか言っていたので、そこで買ってきた。ホテルチョコレートとレストランチョコレートの2種。いつも「あんたが食べるんでしょ」と言われていまうので、マサノリ1人に食べてもらうために今回は小さめのものにした。


その118(2003.1.30)ピーマンのささみ詰め 

新婚の頃、よく作った料理。本当はツナ詰めなのだが、ツナはマサノリがダメなので、鶏のささみを使った。この料理はささみをゆでて細かく裂き、マヨネーズであえたものをゆでて半分に切ったピーマンに詰めるだけという簡単なものだ。
ピーマンは、子供が嫌いなものの代表の緑のやつだ。炒め物に使う場合はなかなか減らないこのピーマン。この食べ方なら1袋全部使っても、あっという間に食べてしまう。
でも、ツナに比べてささみの場合、手間がかかるし、私としてはツナの方がおいしいと思っていたので、一度だまして食べさせたことがある。でも、罪悪感にかられて白状したところ、マサノリが激怒!
以来、この料理は作っていない。

ここでふと思いついた。以前、赤や黄色の大きいピーマン(パプリカ)を炒め物に使ったら、大量すぎて、食べてみたらあまりの甘さに持て余してしまって以来、この野菜を使っていなかったが、赤や黄色のパプリカをトマトカップのようにして、いろいろなものをのせたら、おいしいだろうな。
早速今夜やってみよう。もちろん鶏のささみを使って。

2003.1.31
パプリカ、失敗した。半分に切って作ったんだけど、パプリカって、肉厚なのよね。食べにくいし、存在感が強すぎた。マヨネーズを辛子入りにしたのも失敗だった。ふつうの、酸味の強いマヨネーズにすればよかった。ゆで卵を加えたため、塩も足りなかったから、もうパプリカの味だらけ。
マサノリは、大きすぎて食べにくいよ。この半分に切ればよかったのに。 と言って、残していた(;_;)


その117(2003.1.28)とり大根 

調味料のCMで、手軽な煮物ということでとり大根が例にあげられている。
この煮物、私も好きで、よく作る。調味料は、CMのものより「昆布つゆ」が好みだ。今は、こういう便利なものがあるから助かる。
材料は鶏肉と大根だけというシンプルなものだが、ちょっとしたことで味がだいぶ違ってしまう。
まず、大根は一度やわらかくなるまでゆでてから水を替えること。昔は米のとぎ汁などと言ったが、今は無洗米だし、今の大根は苦くないので、普通の水でよい。面倒でもこれをやらないと、妙に酸味のある煮物になってしまう。
鶏肉は、大きめに切る。うちは一度にたくさん煮るので、大きく切っておかないと、何回か火を通すうちに、鶏肉がバラバラになってしまうからだ。また、大きめに切ると、盛り付けたときの見た目もよいし、味も、鶏肉の大きさによって微妙に変わってくる。ちなみに私の好みはもも肉。カロリーを考えると胸肉の方がいいのかもしれないけど、硬いのは嫌なので、どうしてももも肉になってしまう。
それにしてもこの煮物、本当においしい。こんなにシンプルなのに、なんでこんなにおいしくなるのか。このごろシンプルでおいしい料理に関心が向いている。


その116(2003.1.23)『職人』 

永六輔著『職人』を読み始めた。岩波新書で出ている。わが家でこの本を買ったのは誰だろう。マサノリだろうか、義父だろうか。わが家には、トイレの前に小さな図書棚がある。家族が買った文庫本がそこに並んでいる。傾向としては、義父が歴史物、私が現代小説、義母は私が読んだものを読む、義父の歴史物はマサノリや私が読む。マサノリは外国の推理物で、大きい本が多いので、その棚にはあまり並ばない。
で、職人だが、今読んでいるのは「語る」というところだ。いわゆる職人語録。味があるものもあれば、トンデモなものもある。これから読み進むのが楽しみだ。

私の仕事はDTPオペレーターだ。というよりも、自分にとっては組版オペレーターの方がなじみがいい。紙面に文字や写真を見やすく組むのが仕事だ。その仕事をなるべく早くこなすために、ワークフローを考える。早くこなすからといってみっともない組版はできない。ソフトの都合上なかなかうまくいかないところでも、何とかうまくいくように工夫をする。だから、新しいソフトを使うときは大変だ。「何でこうなるの?こんなこともできないの?」とぶつくさ言う。そう言いながら、そのソフトでどうやったらうまく作れるか考える。そして私流のワークフローが出来上がる。
会社などでは、ワークフローを考える人がいれば、それに乗る人もいなくては成り立たない。でも、1人1人が職人だと、それは難しい。自分流の仕事の仕方でなければ面白くない。言われた通りの手順で黙々とこなすのが好きという人もいるが、古くから組版の仕事をしている人にはまずいない。
職人にとって道具は大切だ。自分が使いやすくなるように、一生懸命手入れをする。それがパソコンの場合もしかり。だから職人がパソコンを共有するのはむずかしい。経営者からすると、この問題は頭が痛い。規模の有利さを出すには人材を自在に動かす必要がある。
1人で仕事をするようになってから、改めて思うようになった。
「私は1人でやるのが一番。」
現代の職人は情報交換も重要だ。たくさんの人たちから有用な情報を受け取り、自分からも提供する。そして、お互いに自分の仕事に活かせれば、それはうれしい。そうすることによって、共通の言語が出来上がり、仕事の流れもスムーズになることを期待している。
仕事をしているうちに、どうしても外注が必要になることもあるだろう。そのときは、潔く一件丸ごと相手に任せるつもりだ。