ラブレターズ

その5(2001.03.03)今すぐ会いたいの

夫と交際中、夜になって急に会いたくなることがあった。仕事場からの帰りに電話ボックスから、「これから会いたい」と電話した。
彼の家から 私の仕事場へは這ってでもいける距離にあった。でも、夜ビールを飲む習慣のある彼は、「ビール飲んじゃったからダメ」のひとことで断ることが多かった。がっかりもいいところである。「なんで? どうして? 私と会うよりビールの方が大事なの?」とは言わなかったが、とても不満に思ったものだ。
ある日、やはり仕事が終わったあと、電話した。その日とても嫌なことがあって、なんとしても会いたかった。ただそばにいてもらいたかった。半ベソをかきながら電話した時、その日もビールを飲んでいたはずなのに、すぐ来てくれた。うれしかった。それだけで、その日にあったことはどうでもいいことに思えた。
平成元年、昭和天皇が亡くなったばかりの頃の出来事だった。


その4(2001.03.01)枕木ひとつずつ 

デートの帰りぎわ、離れるのがつらくてなかなか帰れないけれど、距離が離れていくにしたがって落ち着く人と、「会えない時間が愛育てる」人といるらしい。こういうことは随分昔になってしまったのでなんとも歯切れが悪いが、 一般的には男性は「会えない時間が愛育てる」、女性は「枕木ひとつずつ」が多いのではないだろうか。まあ、「枕木ひとつずつ」の場合別れの歌なので、引き合いに出すのはちょっと違うと思うが、実際にデートの帰りには、髪の毛が1本1本ほどけていって、気持ちが落ち着いていくような気がしたものである。
女性の場合、会えない時間は愛を育てずに、何とか気を紛らわして、どちらかというと愛を薄めていくように努力する人もいるかもしれない。
そういえば、この間テレビで、あまりにも相手にのめりこむのが怖くて浮気をする人がいた。ほかに方法はないのだろうかと思ったが、気持ちはわかる。のめりこんで重くなると、男性は疲れるだろうから。


その3(2001.02.23)『未来日記』 

一時はどうなるかと思った未来日記 。なんとかまとまったかな。
なんだか出来過ぎの気もするが…。
最後に「好きやねん」と言った、彼女の表情が良かった。
なんだか、一皮むけた瞬間を見た気がする。


その2(2001.02.20)愛情をいっぱいもらって育った人 

子供の頃から愛情をいっぱいもらって育った人というのは、とても素直で、相手に対しても何の努力もせずにその愛情を注ぐことができるようだ。
比較的放任で育てられた人間にとって、この資質に対しては、毎日新鮮に感動を覚える。


その1(2001.02.20)麻世とカイヤ 

麻世はきっと、女性が負の貯金を貯め込む性質を持っていることを知らないのだろう。
女性は、相手に対しての怒りや不満を、無意識に負の貯金として蓄える。
でも、怒りが過ぎればとりあえずは忘れている。
そして、再び怒りに火が灯ったとき、今まで貯め込んだ怒りがすべて動員される。
ケンカのときに、「あのときこう言った」とか「あのときあんなことした」とか言い出すのはそのためである。
その点、相手に不満が発生したとき、心の中で勝手に×をつけて、勝手にペナルティを科して、 相手がその不満に対して善処したり、自分にとってうれしいことをしてくれた場合にその×を帳消しにしていく男性とは違うのである。
また女性は、この勝手に×をつけることに対しても猛烈な怒りを貯め込むことがある。
きっと麻世は、その都度の解決で、カイヤの中にたまっているものについて、全く気がついていないのだろう。
男性と女性とはことほど左様に思考回路が違う。
まあ、一概に当てはまらない人もいるかもしれないが。